創部70周年記念誌Web版
甲南大学 学長 中井伊都子
甲南大学卓球部が創部７０周年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。
１９５１年に甲南大学が開学され、一期生の方々がその翌年に創部された卓球部は、まさに甲南大学と共に、輝かしい歴史を積み重ねてこられました。甲南学園創立者の平生釟三郎は、「人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重し、各人の天賦の才能を引き出す」という教育理念を掲げ、その教えのもと、「徳、体、知」を磨く「人物教育を率先する」ことが甲南大学のゆるぎない基本方針として継承されてきています。
この人物教育を実現するにあたって、専門教育や全学共通教育と並んで、正課外活動は大変重要な役割を果たしています。卓球というスポーツを通して「体」を磨くだけではなく、練習の苦しさや勝利の喜びを仲間と分かち合い、時には壁にぶつかったり衝突したりしながら、それを乗り越えることで人間力を磨き上げてこられた先輩方の経験は、この困難で予測不能な社会を生き抜くうえで大きな力になっていることと存じます。
２０２０年初頭から全世界を襲った新型コロナウイルス感染症の脅威は、大学の教育にも正課外活動にも予想だにできなかった甚大な影響を及ぼしました。練習はおろか集まることすらできない状況の中でも諦めることなく、さまざまな工夫を凝らして仲間との絆を保ち、体力とスキルの維持にありったけの知恵を絞った卓球部の現役生の皆さんは、これまでにも増して課題解決力や忍耐力、協調性を身につけられたことと信じています。
甲南卓球部が、７０年の伝統に、困難を乗り越えて得た新たな視点や考え方に基づく革新を紡いで、よりよい成果を積み重ねながら、正課外活動を一層活性化し、とくに体育会を牽引する存在として、１００周年に向かって邁進されますことを心よりお祈り申し上げております。
